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2等賞

都市の痕跡

福原 光太

横浜国立大学 大学院 工学府
社会空間システム学専攻 建築学コース

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ガソリンスタンドの空間には不思議な魅力がある。大型バスも乗り入れられるように、高く持ち上げられた巨大な屋根とその下の何もない広々とした空間。もしも車に限定しなければ、そこはとても大らかで開かれた、独特な雰囲気を持った広場のようだ。
 ガソリンスタンドは15 年ほど前をピークに、その数が減少し続けている。地球環境への配慮から電気自動車の開発も進み、今後更なる減少が見込まれる。そして仮にガソリンスタンドを壊して新たな建物を建てる場合、地中のタンクの撤去の必要などから莫大な費用がかかる。
 廃業したガソリンスタンドの巨大な屋根のかかった空間に、喫茶店、小さな図書館、集会所、あるいは託児所といったような公共的な機能を新しく入れてみる。ガソリンスタンド跡地という都市の痕跡は、小さいけれど大らかな公共空間として、新しい記憶と風景を紡ぐ。

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