優秀賞

収納しない家

青山 周平

東京大学 大学院 新領域創成科学研究科

共同制作者/
雨宮 知彦  小林 国弘

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この家には収納がない。
あるマンションの平面をどんどんと拡大してみる。しばらくは、部屋自体が大きくなることで外形線の拡がりに追随していくが、そのうち部屋は臨界の大きさに達してそれ以上はおおきくならない。かわりにどんどんとおおきくなっていくのは部屋と部屋との間の空間である。一辺が100mとかいう平面では、そのような空間がそのほとんどを占める。ちいさい家では、その空間にはぎっしりと、服や、本や、靴や、食器や、ひな人形や、クリスマスツリーがつめこまれていた。反対におおきい家では、何でもかんでもコンパクトに収納する必要がない。小説だってジャケットだって、あんなに合理的に背をつきあわせて収納せずに、少しずつ距離をおいて並べてみる。そんな余裕がおおきい家にはある。巨大なウォークイン・クローゼットのような空間に、隠されていたモノ達が散らばって、それらの重なりが新しい生活を生む。