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優秀賞

みえる光の路

澤谷 徳幸

千葉大学 大学院 工学研究科

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都市内部の大地から外を見ようと試みたとき、見えてくるものは乱立したビル群と狭い空。人は遠くを見ようと高い塔に上り、開けた場所を探す。無限に高く...無限に広く...目的のない世界。豪邸とは無限に高く無限に広い空間ではない。目的があり、極地的であることが豪邸の本質だろう。また、都市にビルが乱立する以前、富士はすべての人の視線の目的地であった。それ故に出来た地名、街道、坂など多くある。この提案は東京都心では失われた“富士を見る”という行為を美の極地と捉え、富士と豪邸を結ぶ視線上の建築物を排除することである。この豪邸に形はない、きらびやかな装飾もない。ましてや広い庭もない。富士に向かう一筋の光の路があるのみである。都市においてただ富士と対峙するという現象がすべての資本的行為を無に帰すことができる。

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