佳作

長い長い筒のなか

郡司 絵美

フリーランス

共同制作者/幸村 雄太

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土木も建築も、私たちの生活と意識を自然から遠ざけているように思われる。ゆえに、自然が牙を剥いたとき、我々は対処する術を持たない。あるいはそれは無理に押し込められていることにより、一層猛威を振るうこともある。一本の筒を地面に挿入してみる。それは上下に蓋のない、自然を積極的に受け入れる筒。屋根を伝い、樋を通って、下水に流されるだけだった雨は、この筒の中で人々に使われ、植物を潤し、蒸発し、地中に染み込む。どしゃ降りの日には池や小川ができる。雨上がりは陽が差し込み、風が吹き抜ける。外が晴れていても、ここではいつかの雨が降ったりする。気分のいい日は上まで昇って遠くを眺める。寒い日には下の方へ潜り込み、大地のあたたかさに包まれる。人はこの筒の中で天気や季節、気分に左右されながら、心地よい場所を探す。土木のような建築のような筒の中を、移動しながら人が棲むとき、自然とのあるべき関係が築かれる。