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優秀賞

記憶のからくり箱

鴛海 羽乃

北九州市立大学大学院 
国際環境工学研究科 環境工学専攻

共同制作者/道田 志歩

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舞台は私の頭の中。これまでの全ての記憶を詰め込んだ箱がそびえ立っている。
外壁には記憶を託したモノたちがくっついており、近づけば過去に戻ったかのように鮮明に思い出せる。データなら保存か削除かの2択。人間の中にあるからこそ記憶は生きることができる。
しかし中には開けたくても鍵のない引き出しや、無かったことにはできない崩れた階段がある。この箱は、散りばめられた記憶の欠片を鍵とし、思い出しては連鎖して、また新しい記憶を引っ張り出すことのできる記憶のからくり箱である。
新しい記憶は上へ上へと積み上げられる。上空は天気が変わりやすく不安定である。古い記憶は地面に沈んでいき、はっきりとは思い出せなくなってしまう。しかし地面の中は温かく、安定したあの頃の記憶が今度は地面の中で建築になっていく。
私には今より後のからくり箱を描くことはできないが、これまでの記憶は土台となりこれからの私たちを支えている。

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