審査講評

テーマ:「サステイナブルな住居」

審査員/難波 和彦 氏

やはり難しいテーマだったかも知れない、というのが正直な感想である。一言で「サステイナブルな住宅」といっても、問題はきわめて広い。応募しようとした人たちは、おそらくテーマを絞り切れなかったのではないかと推測する。その迷いが応募作品にはっきりと表れていた。  サステイナブル・デザインと聞くと、直ちに省エネルギーやリノベーションという2つのテーマが浮かび上がる。しかしながら、このテーマに正面からとり組んだ応募作品は意外に少なかった。社会的に流通したテーマは、できるだけ避けようとする心理が働いたのかも知れない。僕としては、逆に、人口に膾炙したテーマを徹底的に掘り下げることによって、新しい境地に到達するような案を期待していたのである。しかしそのようなアプローチをとった作品は存在しなかった。  応募作品の多くは、ライフスタイルやプログラムの可変性を追求していた。たしかに建築の機能性はサステイナブル・デザインの重要なテーマである。しかしそこから新しい空間を発想するのは難しいと思う。ライフスタイルやプログラムからのアプローチは、つまるところ機能主義的な発想である。一方「サステイナブルな住宅」においては、ライフスタイルやプログラムはテクノロジー抜きには成立しない。このアプローチをとった案のほとんどが、その点を見抜けていない。  残念ながら、突出した作品は見あたらなかった。5点の入選作は、応募作品の中で頭ひとつ抜け出していた作品である。「URBAN HOUSING」(雨宮廣明)は、ペンシルビル群のリノベーションによって都心居住の可能性を追求したイマジナティヴな提案である。「A BOX 100 LAYOUT」(Samuel Tan)は、技術的な提案を含めて、シンプルな箱の多様な可能性を示したバランスの取れた案である。「NAGAYA2XXX」(土谷友香)は、変わる部分と変わらない部分の組み合わせによって、住居の集合化の可能性を追求したリアリティのある案である。「sandbag house」(田中渉)は、敷地の土を構造体に使った意外性のある案で、単純な手法で複雑な空間を生み出している。「Water Tree House」(下田康晴)は、朝顔状の透明なシェルに水を湛えた詩的で未来的な住宅を提案している。5作品とも技術的なつめが今一歩足りないのが不満ではあるが、それぞれが「サステイナブルな住宅」の多様性を体現しているように思う。  佳作の5点は総じて問題提起的な作品である。それぞれが「サステイナブルな住宅」の特定の側面に照明を当てている。しかし僕には問題の追求の仕方がやや浅いように思えた。  現在、サステイナブル・デザインは社会的にもっとも注目されているテーマである。省エネルギーやリノベーションを否定する人はいない。しかしそこに安住してはならない。問題はそれを建築のデザインにどう展開させるかである。重要なのは、サステイナブル・デザインを通じて、今までにない新しい建築を生み出すことなのである。

2021年(令和3年度)

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