優秀賞

memento mori

久恒 玄季

九州大学大学院 芸術工学府
デザインストラテジー専攻

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この家の意図はの始点と終点の構築である。今日と生の終わりという二つの意味を兼ねている。かつての日本の家は、儀式の場に由来するように、様々な場所と時間を兼ねていた。だが日常的な機能の追求に終始するようになった人々は、「家」という場所を「住宅」という道具へと変えた。人の「死」も穢れという言葉とともに、日常から排除されていった。そしてそれは、人々から生の骨格なるものを奪った。生の着地点の喪失と、多<の豊かな選択肢は、皮肉にも多くの人々を戸惑わせた。だから私はもうー度家の中に人の「死」を内在させようと考えた。日常の空間を棺とし火葬場とした。生と死は表裏一体なのではなく、生の延長に死がある造形とした。しかしこれはニヒリズムを意識させるものではない。むしろ古代ローマ時代のような陽気なそれである。「死」という確かな着地点は、生に対して誠実に向き合うことを促し、確かな意思をもたらす。