佳作 B

階級の壁を超えて

山本 祥史

東京理科大学 大学院
建築学専攻

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建築の裏側に存在する擁壁は、見えない境界となって都市を分断し、格差を生み出している。敷地は港区麻布である。ここには百メートル以上にわたって巨大な擁壁が伸び、上には高級住宅地、下には暗いバラック街と明らかに階級の差が生じている。上下の視線は建築によって遮られ、私達は無意識に階級の壁に支配されている。そこで老朽化した擁壁を解体し、巨大な擁壁建築として再構築・可視化する。擁壁を多段化・建築化することで防災性を高めるだけでなく、内部を公共空間をとして利用する。さらに人々は擁壁に寄り添うように住居を建て、少しずつ住みこなす。擁壁建築は住居に寄生されることによって成長を続けるのだ。いつかこの擁壁が朽ち果てても新たな建築は残り、人々は階級の壁を超えて、ここに住み続ける。