佳作

大きい私と小さい私

西川 拓

東京大学 大学院 工学研究科 建築学

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スケールのギャップに人が棲みつくような住宅を作ろうと思った。極大なものと極小なものに挟まれながら生活する。特に極大なものの持つ質に興味がある。建築から美しさという観点がはぎ取られたが由の美しさ、狂気、圧倒的な存在感を表現したい。例えばダムの擁壁の質量、既に無用の長物と化した土木遺構。そういったものたちに強く魅かれるのはそれらが人間の美学という観点からそっぽを向いているからであろう。今はスケールの対比を壁の厚みに込めることを考えた。敷地は根津を想定している。根津は極小のスケール=路地で構成されたまちである。今ある根津の間口と路地のリズムを壁厚に変換した。まちのファサードは変わらないのだけど、一歩足を踏みいれると狂気のような壁の厚みに襲われる。極大と極小を行ったり来たりすることで人々は時にガリバー、時にアリスのように大きい私と小さい私という並はずれた身体スケールの感覚を身につけることになる。