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入選

不確かな場所の、
確かなリズム

田内 徹郎

フリー

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今日では、自分がなぜここに住んでいるのかという問いに答えることは難しい。地縁、血縁が薄れていく中で、なおも続く土地占有と家を建てる行為。自分がなぜここに居るのか、いつまで居るのか。そのことが保留されたまま日々が過ぎる。
この不確かさとは裏腹にそこに浮かび上がってくるのは、日々の確かなリズムである。そこで寝て、起きて、一歩を踏み出し、またここに帰ってくるという繰り返し。だがしかし、このリズムは都市からベッドへとスムーズにつながってはいない。
敷地の内側で家の外側。そこには家のリズムと都市のリズムの接点がある。そしてここは、日々保留してきた不確かさに包まれる瞬間でもある。リズムが確かであればあるほど、この不確かさはより際立ってくる。
「今日もまた、確かにここに帰ってきた。では、なぜここになのだろうか。」不確かな場所と確かなリズムの中心に素の自分が現れる。

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