入賞

はじめて空気に触れたとき
ー種と花の話ー

髙橋 宇宙

東京大学 大学院 
工学系研究所 建築学専攻

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僕らは橋梁や、ダムのような土木構造物を美しいと思う。力強く、そして孤独だからだろう。しかし、そんな「英雄的な」土木構造物だけが土木ではなく、土の中でただそこにあり、機能を果たしている土木がある。機能を果たし、時がきたら交換されたり、朽ち果てたりするのだ。そんな土木に雨水貯留槽がある。雨水を集め、送り出す装置である。そこに人はいないし、四季もないだろう。
はじめて空気に触れたとき。種が芽を出し、花を咲かせるように、貯留槽が地上に顔を出した。通常は排水口などが担う集水機能を持たせたうつわが「咲く」。水のうつわは四季をうつし、水がかかればそこは人のための舞台になる。公園とも貯水池とも違う、都市の「場所」。純粋な土木機能、その副産物としての「集まる水の美しさ」を楽しめる。都市のみずのゆくえをときどきでも思ってくれればうれしい。「土建空間」というなら、僕はこういう場所をそう呼びたい。