佳作

synchronicity

寺原 彩子

私達は日常的な空間の中に存在しているが、空間の概念はつかみどころのないものである。一般的には、量として実在する空間がある。だがもう一方では、人間の意識の中に存在する空間もある。例えば格闘技のリングはわずか3本のロープで囲われた空間が試合の開始と共に劇的に変化する。このように実際に手で触ることができなくてもそこには同時に存在しているもう一つの空間があり、その両空間の境界となる上記のロープのような存在が扉の持つ意味ではないか。この作品は、極めて日常的な空間の中に、光の明滅によって虚の扉を出現させ、現
実の空間と虚像としての空間を同時に存在させることを目的としたものである。通路空間奥の一部分に蓄光素材が貼付されており、照明を消灯することによって、視覚効果により完全な暗闇の中に発光するもう一つの扉がしばらくの間浮かび上がって見えてくる。メディアを変えることによって扉の持つ意味の可能性を暗示してみた。

2021年(令和3年度)

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