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佳作

私と干潟の故事

楊 翌呈

東京理科大学大学院
理工学研究科建築学専攻

共同制作者/青山 実樹

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21世紀に入り様々な技術、様々な概念が生まれ、多様化であることが当たり前のような事になった。時代は確実に変わりつつあるが、建築はいまだ伝統的な思考のまま、停滞している。建築家は自然を切り捨て、機能という概念によって空間を定義し、それらを組み合わせて最適解を求めてきた。住宅は本当に文字通りの「住むための機械」になってしまった。住宅に多様性はなくなり、それに求めるものが非常に単純化された。このような状況に我々は疑問視し、住民と周囲の環境と連動した家を考える。「働き者の住宅」とは常に何かと関係性を保とうと働きかけている「家」だと感じた。そこで干潟で働く漁師の家を考えた。従来のように敷地条件や図面から設計するのではなく、建築を構成るに構成材から設計する。生物がもつ固有名詞の意味をあえて湾曲させ、「誤読」し、そこから派生した新たな「言葉」から建築の構成要素を発見する、いわば干潟の生態系を漁師が自分の五感で読み解き、一つの家が生まれた。その家は干潟の生態系であり、住人である漁師の生態系でもある。家の働きかけによって一つの世界ができる、そんな家を作った。

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