佳作

均衡を引き出す家

西村 智宏

京都大学 大学院 工学部 建築学科 生活空間設計学

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光のアントニム(対義語)は闇だろうか。実には虚だろうか。公には私だろうか。外には内だろうか。『対比とは、表裏一体で常にそこに同時存在している。』ここでは、光も闇も、風も凪も、公も私も、外も内も、『cubeから取り出す』ことで成立する。つまり、従来では受動的に決められていた対比の均衡はゆらぎ、住み手が能動的に均衡を再定義する。その過程で、『ある価値は、それと対立するもう一方の価値によって、その存在を保障されている』つまり、光には闇が、実には虚が、公には私が、外には内が存在し、その逆もまた然りである。アントニムであったものが実はシノニム(同義語)だったのだ!一瞬、一日、或は一年を通じて変化する対比に住み手が均衡を与える。その時、光と闇が住宅を最も美しく輝かせ、風と凪が清涼を生み、公と私が住宅に人間性を与え、外と内が土地性を喚起する。かくして、対比は統合され、より高次の価値でこの住宅は満たされるだろう。